鈴木医院のお知らせ|京都府京都市上京区にある耳鼻咽喉科

お知らせ

2024.04.10
院内でのマスク着用のお願い

日々暖かくなり、冬の感染症流行時期も遠くなったように感じる方も多いかもしれませんが、当院では院内感染症対策の一環として、引き続きマスクの着用をお願いしております。

コロナ禍初期、予防接種が普及するまでは、以下の認識が共有されていました。

※感染症は人から人にうつる

※他人に感染症をうつすべきではない

※発熱など、具合が悪いときは自分が感染している可能性を考慮する

※症状がなくても「不顕性感染」で他人にうつす可能性がある

※くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・せき・たんなど、上気道の症状があるときは特に注意が必要

しかし、現在はコロナ終息ムードが高まり、これらの認識が薄れつつあります。

処置台の上で、マスクなしで話を続ける方には、それまでいた人の中に感染症の方がいた場合、安全を担保しづらいという思いがあります。

 

5類移行はウイルスの性質や毒性変化を意味するものではありません。

5類感染症には、一例として「クロイツフェルト・ヤコブ病」など重篤な病気が含まれます。5番目に弱い病気という認識は間違いです。5類になったからといって、重症になる方がゼロになったわけではありませんし、報道されなくなっただけで、ある一定の数の方が罹患し続けています。

 

またこの冬、近隣の小中学校では、新型コロナ、インフルエンザなどによる学級閉鎖が依然として発生していたとお伺いしています。

今でも三密などの環境条件が整えば、教室や院内でも簡単に感染拡大が起こり得ます。

待合室の混雑時など、感染者と接触する可能性も高まります。

 

上記の状況を踏まえ、院内ではマスク着用をお願い申し上げます。

マスク着用が困難な場合は、スタッフにご相談ください。

 

当院は、患者さんの安全と安心を守るために、以下の感染症対策に引き続き継続的に取り組んでいます。

手指消毒液の設置 定期的な換気 スタッフのマスク着用

院内設備の消毒

患者さんのご理解とご協力をお願いいたします。

マスク着用に関するご質問やご不明な点がありましたら、お気軽に医師までお尋ねください。

 


2024.04.03
いびきのレーザー治療って有効なのか?

「いびき 〇〇(地名)」などで検索をかけると、最新のレーザーで簡単かつ気軽にいびきが消える、静かになるというクリニックが出てきます。正直なところ、私はこの広告を出しているクリニックに懐疑的な立場です。

 

極端なものでは「いびきの原因を根本から治療!CPAP(重症の睡眠時無呼吸の方に対しての治療である、睡眠中の呼吸の補助器)が要らなくなる」とまで記載しているような広告があります。しかし基本的な前提として、重症の睡眠時無呼吸症候群は、レーザーごときでCPAP卒業ができるような簡単な病気ではありません。

 

まずこういった広告は「実感」を基準にしています。

「受けた人の70%が効果を実感!」…それはお昼のテレビの広告でやっている健康食品の宣伝で、画面の隅っこにごく小さな見えるか見えないくらいの字で「個人の感想です」と言い訳しているのと変わりありません。

 

もともと、「AHI」といって、無呼吸発作の回数を評価する客観的な単位があります。睡眠1時間あたりで10秒以上の無呼吸・低呼吸が何回あったかを表現する、いわば無呼吸の物差しです。無呼吸を評価するには必ず必要で、教科書には必ず記載されているものですが、専用の検査器具ではかるといったようなことも含め全く記載がありません。

 

さらにいえば、無呼吸発作があっても患者さんはその間寝ており、実際の患者さんの8割程度は自覚がないため、睡眠時無呼吸症候群は見つけにくい病気として知られています。今も治療が必要な人の最悪1割しか適切な治療を受けられていないという説があります。

 

つまり、そもそも症状として感じにくい上に、人によって大きく変化する「感想」という、主観的な自覚症状を基準にして評価することは間違っているわけです。「よくなった感じがしているだけではないのか」という問いに対して答えられない手術に妥当性があるのでしょうか。

 

また、「いびきスコア」なるものを用いていますが、いびきアプリのものであり、正確性、客観性に疑問が残ります。寝る時にスマホを患者さんから何メートル離れたどこに置いて測定しましたといった注釈も広告を見る限りはなく、ずさんです。手術前に顔のすぐ横に、手術後に部屋のすみにでもおいて録音して、「いびきが静かになりました」って言っているかもしれませんよね。

 

症例写真でも、口の中の構造の位置がまちまちで、手術のビフォーアフターとしては不適切です。声を出す前と出している時の写真を並べても、のどの後ろが広がったように見えるので、それを出して「手術前後でこんなにのどが広くなりました」って言っているかもしれません。

少なくとも手術する前・した後、AHIで比較し、できれは統計的に処理をして本当によくなっているのか、よくなっているとすればどういった人に効果的であるのか、まで追求してほしいと思います。

 

また、無呼吸の方の気道の原因部位は、口を開いて見えないところ、牛でいうタン元です。一方、そういった局所麻酔のレーザー手術でさわれる範囲は、口を開いて見えるところだけです。歯医者さんスタイルでタン元まで手術操作ができるでしょうか?

閉塞部分を大きく削らない限り睡眠時無呼吸症候群は改善するはずがありません。タン元のような見えないところを歯医者さんスタイルで見えないまま触るような手術で大幅改善なんてあり得ない。軽症もしくは単純いびき症の方にはよいかもしれませんが、保険は効かない上に効果はやってみないとわからない。

 

結論)お金が余ってて仕方がない人には良いかもしれません。


2024.03.26
睡眠時無呼吸症候群の検査をお勧めする理由

当院をご利用いただき、またこちらにも目を通していただき誠にありがとうございます。現在、花粉症でお悩みの方にたくさんおいで頂いており、また、そのため、やや待ち時間でご迷惑をおかけしており申し訳ございません。

ただ、私どもは、そのよくある花粉症や風邪のむこうに、何か病気が隠れてはいないかということを頭に置きながら色々考えて日々診療に臨んでおります。それは、重篤な病気であっても、ごく最初は「風邪」「なんとなくしんどいけど気になるほどでもない」といった顔つきでしか現れてきてはくれないからです。

睡眠時無呼吸症候群という病気が存在します。書いて字の如く、寝ている時に息が止まる病気です。もともと顎が小さい人が、太るなどして舌がぶあつくなり、相対的にのどの奥で舌の付け根がはまり込むなどして、息の通り道が狭くなって起こる病気です。強いいびきを伴い、いびきをかいている最中に息が止まるために睡眠が寸断されます。しかも、寝ている間のことでもあるためか、息が止まっていても、苦しさで完全に目が覚めるほどには苦しくないようで、一人で寝ている方が自分で気がつくというようなことはあんまりありません。家族さんに心配されてしぶしぶ受診される方が時折おられる程度です。

特徴としてはこの病気を持っていても自覚症状がある方は2割程度(つまり気が付かない人が8割)、治療をきちんと受けられている人は最悪1割という説があります。おそらく日本国内では400万人程度の人が未治療のままでいるであろうという推定がなされています。何が問題となるかというと、短期的には集中力の低下、仕事の効率低下、労災・交通事故の増加があり、長期的には動脈硬化の関連疾患にかかりやすい、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、大動脈解離、などの突然死ないしは助かっても麻痺などの重篤な後遺症に悩まされ続けるなど、寿命が縮むか、生活の質の著しい低下をきたす病気にかかりやすくなります。また、身も蓋もない言い方をすれば「肥えたオッサンの病気」ではあるのですが、1/3くらいの方はそうではありません。鼻の通り、顎の小ささ、骨格の問題もあり、決して肥えた方だけの問題ではなく、若くて細い女性の方でもあり得ます。

つまり、よければ「なんかしらんけどしんどい」か、最悪全然わからないままで、それが当たり前と不幸にも勘違いしたままで放置している人は国内で400万人くらいいるだろうし、何なら「だんながいびきでうるさいな」と我慢している奥様方も結構おられるでしょう。そういった方が検査を受けることによってもしこの病気が判明したら、人生が変わり得るということです。

ただ、悲しいかな、おそらく私が「この方はおそらく睡眠時無呼吸症候群があるだろう」ということで説明しても、検査をお受けいただける方はほとんどおられません…。これが「自覚症状がない方が8割」ということの裏返しなのでしょう。一応、私も10年以上無呼吸の治療に関わってきた実績があるつもりなのですが…。

起きた時に口がパサパサ、何かのどにつまった感覚が続く、日中の強い眠気、100kg超えの肥満の方、降圧剤を飲んでいるけれど血圧がさがらない、学生時代は痩せていたが中年で少し太った感じ、けだるさ、無気力、中年になって疲れやすくなった…といったことなどが、見つかるきっかけになります。そういった方は検査を受けてほしいと思っています。決してこれだけが原因だとは断言できませんが、もしそうなら負担が減るというメリットはかなりあると思います。当院がお力になれば幸いです。いびき程度とわらいものにして放置されず、一度受診されてはいかがでしょうか。

よろしくお願い申し上げます。


2024.03.15
※花粉症・アレルギー性鼻炎に対する市販点鼻薬で、「ナファゾリン塩酸塩」が配合されている場合は要注意です!

非常に即効性があり、使用して5分程度ですぐに鼻詰まりが楽になるようなお薬:血管収縮薬がよくドラッグストアで売られています。

これらにはナファゾリン塩酸塩という「血管収縮薬」が含まれています。粘膜中の血管を縮めて、鼻の粘膜全体を収縮させ、鼻づまりを改善、鼻の風通りを良くする即効性のあるお薬です。鼻づまりがとれたと感じられ、鼻呼吸が楽になるという効果があります。

具体的には「ナザールスプレー」「パブロン鼻炎スプレー」「スットノーズ」など、鼻づまりのすばやい改善を謳い文句にしている薬剤です。

処方薬では、「ナシビン」「プリビナ」「トーク」「コールタイジン」などがあります。当院でもかなり鼻づまりの強い方には処方していますが、このときには期限を限定してお使い頂いています。

 

というのはこの薬は、効果の切れ味とは裏腹に、長期使用の末に、逆に鼻づまりが強くなってしまう、薬剤性鼻炎(点鼻薬性鼻炎)を発症する危険性があるからです。効果があるからと言って連続して頻回に長期間使うと効果が弱り、粘膜が常に腫れた状態となって、最終的には常に使っていないと鼻がつまったままになってしまいます。また、使わないと不安になる、手元にないと落ち着かないといった依存傾向も現れる場合があります。結果、毎日数時間おきに使わずにはいられなくなってしまうことがあります。

こういったことから、血管収縮薬は使用するとしても1日1〜2回までとすべきで、「鼻づまりがひどく口呼吸で苦しい、どうしても夜寝られないときだけ」使う程度に留めておくことが大切です。できれば2週間以上の連用は避けましょう。そして、同時に抗アレルギー剤の内服やステロイド点鼻薬などを使用いただき、即効性のある点鼻薬を段々と卒業していくことが重要です。これがどうしてもできない場合、最悪手術以外に方法がなくなることがあります。

 

※当院ではアレルギー性鼻炎の方に点鼻ステロイド薬をお勧めしています!

当院では、点鼻ステロイド薬をお勧めしております。即効性には欠けますが、継続して使用いただくとかなりの効果を期待できます。「ステロイド」というと怖い薬という印象があるかもしれませんが、点鼻タイプは鼻の粘膜だけに作用するため、比較的安全です。妊婦さん、2歳以上のお子様でも投与可能となっています。

「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」とそれぞれに高い効果が期待でき、眠気の心配もありません。

当院では処方薬として「ナゾネックス(後発品のモメタゾン)」「アラミスト」「エリザス」のご用意が処方箋も含めてあります。

同時に、ご相談の上で、くしゃみ・鼻水を止める抗ヒスタミン剤や、鼻づまりに対して効果的なロイコトリエン拮抗薬などのご用意があります。

当院ではこれらを使用しながら、時間経過とともに見せていただき効果的な組み合わせを判断します。

すでに血管収縮薬を頻回に使用されている方は、血管収縮薬を使用し、10分ほど経って鼻づまりが解除されてから、あらためて点鼻ステロイドを使用する、同時に内服薬を併用する…などの方法を続け、徐々に血管収縮薬の使用頻度を減らしていき、使わなくても鼻呼吸ができる状態を目指します。

市販薬では「【指定第2類医薬品】フルナーゼ点鼻薬〈季節性アレルギー専用〉 8mL」「パブロン鼻炎アタックJL〈季節性アレルギー専用〉 」「【指定第2類医薬品】ナザールαAR0.1%<季節性アレルギー専用> 10mL」などの、「ステロイド含有」などの記載を参考に購入を検討ください。


2024.03.01
当院では花粉症の注射は行っておりません

花粉症の季節となっております。

当方で前にも記載した通り、花粉症の注射は行っておりません

…行っていないと書いていたと思っていたのですが、「ホームページで見た花粉症の注射をしてほしい」と言う内容の電話が先日かかってまいりました。

自分で書いたはずの文章を確認してもやはり書いてありません。お電話された方におかれましては、色々と不具合がないか心配しております。

お間違えのなきようお願い申し上げます。

 

そして花粉症の注射について注意喚起しておきたいと存じます。

まず、今、一般的に花粉症の注射には2種類あります。最近でてきた生物学的製剤と、古くからあるステロイドの注射です。

そして、その、ステロイドの注射が全然お勧めできないという件についてです。

 

一回の注射だけでワンシーズンの間、楽にすごせるといった触れ込みでステロイドの注射がもてはやされていた時代がかつてありました。「◯◯医院でしかしていない」なんていうような形でお聞きになった方もおられるかもしれません。

しかし、今や推奨されるものではありません。

もともとステロイドというお薬は「なにか怖いイメージ」をお持ちの方が多いと思われますが、使い方が正しければ問題はめったにおきません。

そもそも、ステロイドは、体の色んなところに影響を与えるため、特に高血圧、糖尿病、B型肝炎、白内障、緑内障の方に対しては注意が必要です。特に耳鼻科の範囲では期限を限って炎症を抑えるために使用することが多いと考えます。

 

さて、花粉症に昔使用されていたお薬は、商品名は「ケナコルト」というもので、半減期が長い、つまり体の中で分解されるのに時間がかかるということが特徴となっているステロイド製剤です。

それを注射すると、炎症が強く抑えられるため、そのおかげでスギ・ヒノキの花粉シーズン中の2,3ヶ月は楽にすごせるようになるのですが…もし副作用が出た場合、やはり副作用についても2、3ヶ月出っ放しとなります。体の中で分解されるまで、副作用が出続けることとなります。いちど副作用が出てからはもうコントロールすることはできません。2,3ヶ月我慢する以外の方法がありません。

また、数年に渡って打ち続けていると、糖尿、高血圧、緑内障、白内障、骨粗鬆症などの発症リスクが上がっていきます。つまり、花粉症のお薬が原因でそのような病気にかかってしまいかねないということになります。

 

今やそのような時代と違い、副作用の少なく、効果の期待できるお薬が多数用意されています。つまり眠くなりにくく効果がしっかりあり、長年使用しても大丈夫という薬です。

 

そのようなお薬がすでにある時代に、わざわざステロイドの注射を打つということがそういったリスクに見合う治療とは思われず、基本的には標準治療としてご提案があることはまずないと思います。裏を返せば重症の花粉症の方にとってはそういったお薬しかなかった時代があったということです。繰り返しになりますが、今はそうではありません。

美容系の自費診療クリニックで行われているということを耳にしたことがありますが、もし今も昔と変わらず以前から行っているようなところがあれば、残念ながら昭和からお勉強が進んでいないよなということになると思います。

 

生物学的製剤の方は、最近の遺伝子工学をもとに作られた新しいお薬です。いろんな今のお薬を使用してもなかなか改善が得られないような重症、難治性の方が対象となります。当院では行っておりませんが、もし色々な治療法を試しても全然効果の乏しい方はご用意のある医療機関へ紹介させていただきますので、ご相談くださいませ。

 


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