鈴木医院のお知らせ|京都府京都市上京区にある耳鼻咽喉科

お知らせ

2023.05.29
今朝から風邪をひいたので抗生物質を処方してくださいというご要望について 結論:オススメしません!かかってすぐの風邪に効く抗生物質は存在しません!

まず、大事な点として…次の4点を知っておいてください

「かぜ(風邪)」の大部分はウイルスが引き起こす!

その原因となるウイルスもいっぱい種類がある!

でも使いやすくてよく効く抗ウイルス薬はない!

ウイルスのあとに細菌がやってくる!

 

「かぜ」とは、くしゃみや鼻水、咳などに代表されるような、はなやのどの急性の炎症の総称です。鼻やのどに炎症を起こすもの(病原微生物)として有名なものに「ウイルス」と「細菌」があります。

そしてこれら、風邪の症状は、まず大半がウイルスによるものであると知られています(ライノウイルス、コロナウイルスが多く、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが続きます)。

 

カビにカビキラーがあるように、ウイルスに対するウイルスキラーとしての抗ウイルス薬や、細菌には細菌キラーであるところの「抗生物質(抗菌薬)」が存在しています。

どのウイルスや細菌が暴れているのかを調べて、それに対する薬を使用するのが治療の原則だとされていますが、ただ、かぜと呼ばれる鼻やのどの炎症に対して非常によい効果を発揮してくれるようなお薬は今のところ存在しません。かぜ症状ということに限っていえば、インフルエンザに対してのタミフルなど以外は、その効果がはっきりとあるわけではありません。新型コロナのお薬も、ひとつには「発症後3日以内に飲めば、飲んでいない人と比べると症状が収まるのが1日早くなる」といったような、「わあ、すごく効果的だなあ、ぜひたくさんのひとたちに飲んでもらいたいなあ~」とはあんまり言えないんじゃないかなあ感のあるお薬となっております。

 

また、かぜの症状の原因となっているウイルスを調べるべきかどうかという話なのですが、ある程度の種類であれば抗体の有無など採血では調べられても、結果がでるまでに一週間程度の時間がかかり、風邪の大多数は一週間程度で治ってしまう…結果が出る頃には何もしていないけれど治ってしまっていたというようなことでは、薬の選択をする根拠とはならないので、見合わないということで経過を見ていることが多いというのが現状です。例えばアデノウイルス専用抗ウイルス薬というものは今の段階で存在していないので、結局は対症療法、痛み止め、咳止めや痰切りで経過をみましょうということになります。

ここまでを一言でまとめると、「やることがかわらないなら検査する意味ないやん」ということです。

じゃあコロナやインフルだけがやたら検査されるのは、他人に移すとかなりアカンことになるからで、もしそれであったら厳重に隔離させてもらうという選択になります。

 

風邪などの炎症を引き起こす原因では、順番として、ウイルスが先で、細菌があととなります。

ウイルスが荒らした場所に、細菌(たとえば溶連菌とか、肺炎球菌といったように、日本語で語尾に「菌」がつく)がやってくるというイメージで捉えていただくとよいと思います。細菌が暴れ出すのは、ウイルスによってはなやのどの粘膜が痛めつけられたあとなので、かぜ症状が出始めて3.4日が経過してから、つまり、のどの奥や扁桃が真っ赤だとか膿の白いつぶつぶがついている、鼻水がネバネバで黄色い、鼓膜の奥に膿が透けて見えている、つまり「化膿している」といった表現がなされるような状態が抗生物質を使用する目安として知られています。

つまり、風邪だな、のどが痛いなということに朝に気がついてそのまま受診された方に抗生物質を出すと、ウイルスだけがいて、細菌という敵がいない状態に攻撃を加えていることとなり、病気を起こしているウイルスには何らダメージを与えられません。それだけではなく、その後、その抗生物質に対する耐性菌という、非常に抗生物質が効きにくいタイプの菌ができることを促すことになってしまいます。腸内細菌のバランスにも悪影響があるかもしれません。つまり、メリットがないうえデメリットばかり与えてしまうこととなります。

 

これらを踏まえると「めざめると風邪を引いていました、抗生物質がほしいです」と言う方に対して「その必要ないですよ」と言うことには、色々と考えが込められていることをおわかりいただけますでしょうか。カビに除草剤を撒いても仕方がないのとちょっと似ているかもしれません。

どうぞ「はたらく細胞」など最近のわかりやすいお話などをご参考になさってください。

https://amr.ncgm.go.jp/materials/

 


2023.04.26
花粉の時期を振り返って

いつも当院にご来院いただき、誠にありがとうございます。

花粉の季節もどうやらそろそろおしまいかなという印象をもっております。花粉の飛散機には大変混み合い、ご迷惑をおかけいたしました。

アレルギー性鼻炎、花粉症の方々におかれましては、ようやく落ち着いた日々を取り戻しつつあるようなところかと存じます。ただ、だからといって、ようやく楽になった、というだけで終わってしまうよりは、これからのことをお考えいただければと新しくご提案をしたいところです。

つまり、来年のスギ花粉シーズンをいかに楽に過ごすかということを今からお考え頂くということも必要ではないでしょうか…ということです。

特に時期がわかっている方は、薬を飲むとすればできれば早いうちがいいと考えます。

特にスギ花粉症の方は、1月後半、二月に入ってすぐくらいから受診頂き、服薬していただくのが適切と思います。

また、時期がわからないような方の場合は、採血でどういった種類のアレルギー反応があるのか確認させていただければ、適切な時期についてのお話が可能になると思います。

(花粉症と、風邪の初期は、採血以外では全然わかりませんし、見ただけではわからないことも多いです。以前どのようなアレルギー源に反応が出ていた、ということから、より正確な診断が期待できると思います。)

特にこの時期、アレルギーをもとにして、鼻がつまり安い方の場合、寝ている間に口呼吸となって、気温の激しい動きについていけないことから風邪をひかれる・扁桃炎にかかる方も多いようにお見受けいたします。

こういった、自分では気をつけていたはずなのにどうしても風邪をひきやすいというような方も、アレルギーをしっかり治療を受けていただければかなり余計な不幸にあわなくてよいようになる…ということが期待できます。

受診の際に「検査を受けたい」とか「アレルギーに手術ってあるのか」といったようなことについては、詳しくお話をさせていただきます。

今期の花粉で特に酷い目にあった方々には、次の治療ステップをご提案させていただきます。よろしくお願い申し上げます。


2023.03.13
花粉症治療について

平素より当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。

今季、花粉症の猛威を感じております。当院においで頂いている方々のご様子から、ただならぬ状態で花粉が飛んでいるということを強く実感しております。

そこで花粉で苦しんでいる方、一度服装を見直してみませんか…と言いますのは、いかにも花粉がまとわりつきそうな服を着ている方がいらっしゃいます。

毛糸製品や少し毛足の長いフリースなどになると、外で表面を叩いたりなどしても結構な量がひっついたまま家の中に入り込んできてしまい、家の中であっても症状が改善しないといったことにつながると思います。

たとえば、ウインドブレーカーやナイロンジャケットなどのアウトドア用の活動しやすい服装は比較的はたけば花粉が離れていってくれやすいと思います。

また、この時期は室内干しでやり過ごすということも立派な花粉対策となります。

お薬のお話については随時受診頂いた際にお答え致します。

よろしくお願い申し上げます。


2023.02.17
花粉症の治療は早いほうがいい

早くから治療を始めておいて損はありません。

花粉が飛んでから我慢して我慢して薬を飲み出すと効果が出るには時間がかかります。

わるいことはもうしません、早い目からの内服が効果的です。

少し暇があれば早くにおいでください。


2023.01.16
毎年アレルギー性鼻炎、花粉症でお悩みの皆様、今年は少し早い目に治療を考えてみませんか

いつも当院をご利用頂きありがとうございます。

今年スギの花粉が飛び出す時期は、関西では2月下旬と予想されています。

敏感な方はもう少し早い目から「目がかゆい」「鼻がむずむずする」こともあるとお伺いします。

 

そこで今回おすすめするのは花粉の飛び出す前・症状が出る少し前から…つまり2月の頭くらいから治療を開始してみませんかということです。

症状が出る前か、出だしてから早期にお薬を飲みだしたグループと、ひどい症状が出てからお薬を使用しだしたグループとで比べると、やはり、早くにお薬を飲みだしたグループがそのシーズンを楽に暮らすことができて、また一番ピークの時期にも症状がかなり抑えられたという報告があります。

また、薬が効き出すには数日かかることがあり、症状が出てからでは、本来合ってたはずなのに「処方薬が全然効かない…」といった間違った印象を持つことにも繋がりかねません。

つまり、毎年スギやヒノキで苦労されている方は、早期に受診し服薬を開始していただくことが、花粉シーズンを穏やかに過ごしてもらう秘訣ということです!

 

花粉症の症状は「くしゃみ・鼻水型」、「鼻閉(鼻づまり)型」、「その両方型」に分類され、この分類に合わせてお薬を選択することが推奨されています。

そこで症状の特徴から、患者さんご本人が満足を得られるような、相性のよいお薬を探していくことが重要です。

くしゃみ・鼻水を抑えるお薬は、抗ヒスタミン剤と呼ばれ、効果が強いものは眠気も強い傾向があります。そのため、車の運転をされる方は事前にお知らせください。

 

初診の方は眠気の少ないものをお試しも兼ねて数日分より処方します。(合わない場合を考え初回から長期処方はしないようにしております)

ガイドラインで推奨されている点鼻ステロイド剤は、速効性はありませんが、使用を数日間継続することによって効果が期待でき、多くの方にお使い頂いております。

 

市販の「使うとすぐに鼻が通る点鼻薬」(「ナザールスプレー®」や「パブロン鼻炎スプレー®」など)は、長期間にわたって頻繁に使用していると、鼻がすごく通った状態がくせになってしまい逆にそれなしには気が済まないようになったり、また、鼻の粘膜の変性によって薬が効かなくなり、常に鼻閉・口呼吸となってしまって使用しないことには鼻腔の通気が得られない「薬剤性鼻炎」を起こす場合があり、注意が必要です。

この場合、もともとの市販点鼻薬の使用をやめないと改善が得られませんので、これらの点鼻薬がくせになっていてすでに使って長い方は事前にお知らせください。

 

また、比較的歴史があって効果が強い一部の抗ヒスタミン剤は前立腺肥大や緑内障の方と相性が悪く使用できない場合があります。それと内服ステロイド剤とを組み合わせた「セレスタミン」というお薬も効果は強いのですが、長期間継続すると骨密度低下や免疫低下などのおそれがあり、注意が必要です(症状が強い場合は短期に限定して使用することはあります)。

また、高血圧・糖尿病・緑/白内障の方とは相性が悪いため使用できません。こういった病気の治療中の方は事前にご相談ください。

 

「一回でワンシーズン楽になる」「花粉症が治る」「お尻に打つ」ステロイドの注射といった方法は、昔、そのような治療がもてはやされたようなことがあったようですが、現在推奨されておりません。一時、とある医院で行われその時にも副作用の点で問題視されていましたが、いまや行われなくなりました。一般的に、今もその治療を行っている医院はさすがにもうないのではないでしょうか。

というのも、その注射のステロイドは症状を抑える力が強いうえに、半減期が長いタイプで、体内で分解されるのに時間がかかります。

長期間効果が出て2月から5月の花粉の時期が楽になるものの、もしも副作用が出た場合三ヶ月副作用が出っ放しになるという性質が危険視された結果です。

 

なお、現在、そのようなステロイドを使用することのない、バイオ技術を利用した注射型の新薬が開発され発売されています。重症のアレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎の方で、条件を満たした方には使用が可能です。当院では行っておりませんが、ご案内できますので、ご希望であれば詳しくは医師へお尋ねください。

 


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